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     神殿

 私達が神社をお参りするのは拝殿です。拝殿には神様は居ません。拝殿の裏に

神様が鎮座している神殿(本殿、正殿)があります。

 

photo.8-1                    photo.8-2

 photo.8-1は東京都目黒区の碑文谷八幡宮の神殿です。8-2は川崎市中原区の神明神

社の神殿です。屋根の上を見てください。屋根の両端に交叉したツノのようなものが見え

ます。これを千木と言います。更に千木の最上部を見ると、photo.8-1は端面が垂直に切

断されています。8-2は水平に切られております。これは祭神の男女の性別によって、切

断の仕方が変わるようです。碑文谷八幡宮の祭神は応神天皇で男性、神明神社の祭神

は天照皇大神で女性です。祭神が男性の場合は垂直に、女性の場合には水平切断なの

だそうです。

 両端の千木の間、屋根の稜と直角方向に丸太のような物が載っているのが見えます。こ

れはカツオ木と言います。これも男性女性で本数が変わります。祭神が男性だと奇数本、

女性だと偶数本なのだとか。8-2はよく見えないかと思いますが、6本載せてあります。

祭神の男女の別に依る千木、カツオ木の形式は本当かどうか分かりません。大相撲の土

俵の上にある吊り屋根にも千木、カツオ木があります。大相撲を神事として位置付けてい

るのだと思います。

 

photo.8-3                       photo.8-4

 photo.8-3は川崎市高津区の杉山神社です。右側が拝殿、左側が拝殿に連なっている神

殿です。画像が小さくて恐縮ですが、やはり、神殿の屋根に千木とカツオ木が見えます。

杉山神社の祭神は五十猛命(いそたけるのみこと)という男の神様です。従って、千木の

端面は垂直で、かつお木は奇数本です。

 神殿の屋根には必ず千木とカツオ木があるのかといえば、そうではなく、photo.8-4は川

崎市高津区の白髭神社には千木、カツオ木がありません。村の鎮守の神様ですから氏子

からの寄付金の都合でというのも有るかもしれませんが、有名神社の写真を見ても屋根

に千木、カツオ木のない所はいくらでも有ります。神殿の必要条件ではありません。ただ、

私がいくつかの神社を見てきた範囲では、拝殿に比べて神殿は随分質素だなと言う気が

します。

 photo.8-5

 私の住んでいる町内の千年神社の神殿です。御嶽神社、春日神社、神明神社の三社合

祀し、昭和30年に千年神社と改称したと書いて有りました。祭神は天照皇大神、天児屋

根命(アマコヤネノミコト)、日本武尊です。千木は水平に切られ、カツオ木は6本です。

千年神社では拝殿にも、千木、カツオ木があります。

 

photo.8-6                       photo.8-7

 photo.8-6は川崎市中原区中丸子の「神明大神」の神殿です。ご祭神は『稲田姫命(イナダ

ヒメノミコト)』です。女性の神様ですからカツオ木は偶数の6本でOK。ところが千木の端部は

垂直に切断されております。どうも、千木の切断の向きとカツオ木の本数で神様の性別が

分ると言うのは怪しくなってきました。

 画像が暗くてよく分からないと思いますが、千木、カツオ木の載せられている屋根の下に

小さいながら更に別の屋根が作られているではありませんか。屋根が2重構造になってい

ます。

 photo8-7は川崎市中原区丸子山王町の「日枝神社」の神殿です。三間社流造り(さんげ

んしゃながれつくり)と言われるもので川崎市ではここだけの本殿の造りだと境内の説明

に書いてある(私には何のことか分りませんが)。本殿は外陣、内陣に分かれていて内陣

の方が高く作られているとか。そこに神が祀られている。神殿の側面から見れば、確かに

奥の方が高くなっているが、内部は神様のいるところだから見えません。

 photo.8-8

 それにしても、神殿の内部は一体どうなっているのだろう。誰しもが思うことです。 

 photo.8-8は東京都目黒区の高木神社の神殿の内部の写真です。中にもやはり屋根が

作られ、小さい建物がある。ここに神様が祀られているのでしょう。高木神社はごくごく小さ

な神社です。境内には誰もおらず、神殿の建物の板の隙間よりレンズを入れて撮影した。

もしかしたら、撮影禁止なのかもしれない。photo8-1の碑文谷八幡宮の神殿の中にも同じ

ように屋根付きの建物が入っている。内陣と呼ぶのでしょうか高木神社と同じように階段

がついていて、階段手前の左右には灯篭まで見えました。

 今までずっと神殿として見てきたものは、本当は神殿ではなく神殿を保護する鞘堂(さや

どう)なのかも知れません。柵があったり、閉ざされていて神殿の外観しか見ることが出来

ずにいました。実はどこの神社にも中に本当の神殿があるのかも知れません。

 神社に対して特別な知識も無く、お寺と神社の区別すら明確でないまま近所の神

社を廻って来ましたが、どうも神殿(本殿)に対する認識が誤っていたようです。神社

を30社以上廻って来ると色々な表記に巡り遭って来るものです。先に私達が見てい

るのは鞘堂(さやどう)ではないのかと書きましたがどうやら確証となる表記に巡り合

いました。

 4/24に川崎市高津区野川の「野川神明社」を訪れた時に次のような表記があったので

す。

本殿   権現造り 柿葺     1.3平方メートル

覆殿  入母屋造り  銅葺き   22平方メートル

拝殿  神明造り   銅葺き

             photo.8-9

 私はphoto.8-9を神殿(本殿)だと思ってきました。野川神明社のものです。この大きさの

建物が1.3u である筈がない。これは覆殿だったのでした。全く見えませんがこの中に

photo.8-8の高木神社のような小さな本殿があると思うのが多分正解でしょう。もしそうなら

本殿の大きさが 1.3u であっても少しもおかしくない。ものを知らないと言うのは本当に

恥ずかしいものです。

 

photo.8-10                      photo.8-11

photo.8-10は川崎市中原区の春日神社の神殿です。拝殿に連なる屋根の向きに注意して

見てください。「妻入り」と言う事です。今まで見てきた神殿とは全く違います。千木は端部

が垂直に切られ、かつお木は2本の偶数です。

photo.8-11は川崎市中原区の小杉神社の神殿です。千木は端部が垂直に切られ、かつ

お木は5本の奇数です。

2005.08.27

 山形県上山市の月岡神社の神殿です。月岡神社は上山城の隣に有る神社です。屋根

には千木がなく、カツオ木が5本あるこじんまりとした神殿です。「神紋」のコーナーで書き

ましたが、家康の祖先、徳川勘解由左衛門尉利長公とその子である従四位松平伊豆守

信一公という男性の祭神ですからカツオ木の奇数本には納得です。

 photo.8-12

2005.09.19

photo.8-13を見てください。山形県米沢駅を降りて上杉神社に向かって歩き、もうすぐ上

杉神社と言う処にあった、神社ではなく交番なのです。屋根には千木、カツオ木があり、さ

すが有名神社の近くにある交番には神社の装いをしてあるのだなと感心しました。

 photo.8-13

 所が、上杉神社へ行ったら、上杉謙信を祀っている神殿にも、10代藩主の有名な上杉

鷹山を祀してある松岬神社の神殿にも千木、カツオ木はなく、あの交番はナンだったのか

と唖然としました。

 

photo.8-14 上杉神社の神殿           photo.8-15 上杉神社神殿 

2007.04.19(木) 久伊豆神社

 photo.8-16は埼玉県越谷市の久伊豆神社の神殿です。周囲を

 瑞垣に囲まれよく見ることが出来ません。久伊豆神社のご祭神

 は大国主命、事代主命(ことしろぬしのみこと)を含め5柱が祀

 られています。屋根の両端には外削ぎ(端部を垂直に切断し

 た)の置き千木が置かれ、かつお木は5本です。屋根には神紋

 である右離れ立ち葵の紋が光っている。 

 

 photo.8-16 久伊豆神社の神殿

2007.10.07(日)

 埼玉県川越市の氷川神社の神殿です。神殿というのは大抵の場合、瑞垣に囲まれていてよく見る事が出

来ません。瑞垣の隙間から覗くと、神殿の周りにはずっと彫刻が施されています。彫刻が施されている神殿

は良く見ますが、これほどのものは見たことがありません。「浦島太郎」の図や、源頼朝が由比ガ浜で鶴を放

っている彫刻など名匠によって彫られた彫刻が神殿の周囲にずっと施されていてとても見ごたえがありま

す。

 photo.8-17  氷川神社神殿の周りの彫刻


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